◇告訴状・告発状作成

 

【根拠法】

 

刑事訴訟法

 

【告訴と告発はどう違うの?】    

 

 

まず、告訴と告発は、それを行う主体が異なります。

 

告訴は、犯罪の被害者やその親権者、相続人などが、検察官や司法警察員といった捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を言いますが、告発とは、告訴する権限を持つ者(告訴権者といいます)及び犯人以外の第3者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を言います。

 

「告訴権者以外」というのは分かるが、「犯人以外」とはどういうこと?と思われた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、犯人自身が犯罪の発覚前に自ら捜査機関に申告してきた場合は「自首」に当たります。

 

お話を戻しますと、要するに告訴は犯罪被害の当事者(親族や親権者を含む)がすることができ、告発は告訴権者および犯人以外の第3者であれば、極端な話「誰でもできる」ということですね。

 

 

【告訴・告発は誰に対し何処でどのようにして行えばいいの?】

 

告訴・告発は検察官または司法警察員(一般的に巡査部長以上の警察官をいう)に対して書面または口頭で行う(判例)とされていますが、慣例として通常は書面で行います。

 

告訴・告発を検察官にするか、司法警察員にするかの選択は告訴・告発権者に委ねられています。

 

しかし、どちらに告訴・告発すれば適切なのかの判断は、事件の内容性質によって異なってきますので、一般の方にその判断は難しく、やはり「餅は餅屋」「蛇の道は蛇」でその道の専門家(行政書士や司法書士や弁護士)に依頼し、告訴・告発状を作成してもらった方が確実ですしまた安心です。

 

一般論ですが、いきなり検察官に告訴・告発状を出す(これを直告といいますが)ことはまれで、警察官その他公職にある者の違法行為(贈収賄など)を摘発する目的の場合を除けば、一般犯罪人への告訴・告発は司法警察員にするのが一般的です。警察は行政機関ですから、告訴・告発状作成はその行政機関に対する手続きに精通した行政書士へのご依頼をお勧めします。尚、検察官への直告は行政書士の職権外ですので、その場合は司法書士に作成を依頼することになります。

 

 

【書式は決まったものがあるの?また、書式に不備がなければ必ず受理して貰えるの?】

 

書面の形式としましては特段決まったものはありませんが、題名、作成者(代理人であればその名)、被告訴人、日付、提出の宛名等、文書として当然備えていなければならない記載に加えて、犯罪事実、思料する罪名・罰条、犯罪の背景や経緯など、告訴・告発が有効に成立するための要件を満たしていなければなりません。

 

実務的には、告訴・告発状が捜査機関の手元に届いただけでは何の意味もなく、これが正式に「受理」されることが重要です。

 

法律上は、申告書類が告訴・告発の要件を満たしていれば捜査機関は「受理」を拒絶できないとされています。しかし少しでもその要件を欠いた場合、告訴・告訴状が受理されることはまずありません。

 

捜査機関は常時多くの事件を抱えていますし、捜査に投入できる人員にも限りがありますから、ひとたび受理したら必ず捜査に着手しなければならない義務を負う告訴・告訴状の受理をできるだけしたくないという本音もあるでしょう。

 

加えて、告訴・告発制度が、トラブルの相手との示談を有利に運ぶための手段として利用されるなど、犯人の処罰よりも経済的被害の回復を目的として成されるケースが少なくなく、そのようなケースでは告訴・告発が容易に取り下げられるという事情もあります。

 

ですから、捜査機関が起訴に至ることがある程度見込まれる事件のみ受理したいと思う気持ちは解からないまでもありません。

 

私ども行政書士は書類作りのプロとして、御依頼人さまの要望を法に沿った有効な書面に仕立てあげ、捜査機関に四の五の言わせない書類を作成致します。

 

それが私たち行政書士のレーゾンデートル(存在理由)です。

 

 

 

告訴・告発の対象となる具体的事犯例

 

 

○公文書偽造罪・同行使罪(刑法155条1項・同158条1項)

 

○詐欺罪(刑法246条1項)

 

○横領罪(刑法252条)

 

○業務上横領罪(刑法253条)

 

○窃盗罪(刑法235条)

 

○背任罪(刑法247条)

 

○有価証券報告書等虚偽記載罪(刑法197条1項1号)

 

○私文書偽造罪(刑法159条)

 

○脅迫罪(刑法222条)

 

○強要罪(刑法223条)

 

○恐喝罪(刑法249条1項)

 

○暴行罪(刑法208条)

 

○傷害罪(刑法204条)

 

○公然わいせつ罪(刑法174条)

 

○わいせつ物頒布罪(刑法175条)

 

○強制わいせつ罪(刑法176条)

 

○強姦罪(刑法177条)

 

○信書開封罪(刑法133条)

 

○秘密漏示罪(刑法134条)

 

○名誉棄損罪(刑法230条)

 

○器物損壊罪(刑法261条)

 

○集団強姦罪(刑法178条2項)

 

○重婚罪(刑法184条)

 

○威力業務妨害罪(刑法234条)

 

○詐欺破産罪(破産法265条)

 

○詐欺更生罪(会社更生法266条1項4号)

 

○破産管財人の特別背任罪(破産法267条)

 

○重要財産開示拒絶等の罪(破産法269条)

 

○業務及び財産の状況に関する物件の隠滅等の罪(破産法270条)

 

○強制執行妨害罪・競売入札妨害罪(刑法96条の2・同96条の3)

 

○営業秘密不正取得罪(不正競争防止法21条1項1号)

 

○営業秘密不正領得罪(不正競争防止法21条1項3号)

 

○商標侵害罪(商標法78条)

 

○特別背任罪(会社法960条・961条・962条)

 

○会社財産を危うくする罪(会社法963条)

 

○会社役員らの贈収賄罪(会社法967条)

 

○株主等の権利行使に関する贈収賄罪(会社法968条)

 

○株式等の募集・発行・払込に関する不正行為の罪(会社法970条)

 

 

               注・※印の罪名は親告罪