◇内容証明作成

 

◇内容証明

 

【内容証明の効果とは?】

 

 

内容証明自体には法的強制力はありません。しかし、内容証明の目的とは、受取人に心理的圧力を加えることにより目的を達成しようというのがそれですから、郵便認証司の厳めしい印や、文書を作成した専門家の職印が押され、「本書到達後1週間以内にお支払いがない場合は、法的手段を執らせていただきますので、その旨ご承知置きください」などと書かれた内容証明郵便の、相手方に与える心理的な圧迫効果は抜群です。

 

 

つまり内容証明の差出人は、「受取人に身に覚えがあれば、内容証明を放置せず、負債を返済するなどの相応の対応をし、裁判沙汰を回避しようと努めるだろう」ということに期待しているのです。

 

 

また、内容証明郵便は、そこに書かれた内容や差し出した日付、相手方が現実に受け取ったこと(配達証明書付内容証明にした場合)を日本郵便株式会社の名において証明するものですから、問題がこじれて訴訟に発展した場合の有力な物的証拠にもなります。

 

 

例えば、クーリングオフなどは書面で行う必要がありますが、特に書面の形式は決まっていませんから、通知者は、葉書や普通郵便でクーリングオフ通知書を送ってもいいのですが後々のトラブルを防止するためにも配達証明付きの内容証明郵便にするのがもっとも確実です。

 

 

 

 

【内容証明は私にも出せるの?】

 

 

もちろん、被害に遭われた方がご自分で調べてクーリングオフや契約解除の内容証明をつくって出すことも十分可能です。しかし、裁判になった場合の有力な証拠となる内容証明ではありますが、裏を返せばそれは相手方の証拠にもなるわけですから、一歩書き方を間違えば、逆に上げ足を取られるはめになりかねません。

 

 

例えば、販売業者が特定商取引法や消費者契約法に抵触する違法行為をしていないにも関わらず、また、解約期限を過ぎているにも関わらず、クーリングオフ制度(訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供では法定の書面を受け取った日から8日間。連鎖販売、業務提供誘因販売では法定書面受領から20日以内。通信販売では適用なし)や取消制度(追認できるときから6ヶ月間、最長でも契約締結から5年間)による内容証明を出してしまうなどの失敗をしてしまうことが考えられます。

 

 

 

あるいは、貸金の催促の内容証明などで、「返済期限を守らなければ勤務先や家族にいう」といったような文言は、下手をすると「脅迫」とみなされます。

 

 

 

こうした失敗を避けるためにも、やはり信頼できる専門家に依頼したほうが無難です。

 

 

 

【内容証明は最善策?】

 

 

 

相手方に弁済の資力が多少ともある場合には、何がしかの効果の期待できる内容証明ですが、相手方が倒産や破産をしそうな場合は、内容証明では既に遅く、直ちに差押えや仮押さえに入るべきですし、振り出された手形が不渡りの場合などは、直ちに手形交換所の供託金の差押え、訴訟、強制執行などを行うよう助言いたします。

 

 

 

その一方で、相手方に誠実さがみられる場合や、譲歩する気持ちがある場合、あるいは、解決後も親しく付き合いたいといった感情が少なからず残っている場合には、必ずしも内容証明がベストな選択とは言えません。

 

 

そのあたりの微妙なニュアンスの違いにつきまして、条文や判例に基づき適切なアドバイスをするのも行政書士の仕事です。

 

 

なお、内容証明郵便は、窓口だけの小さな郵便局では扱っていなく、集配業務を行う比較的大きな郵便局で申し込む必要があることに注意しましょう。

 

 

 

◇取扱内容証明例

 

貸金の返済請求

 

○売掛金等の債権回収のための内容証明

 

○担保権実行のための内容証明

 

○未払いの請負代金の請求通知

 

○債権譲渡通知

 

○債権放棄通知

 

○商品の引渡し請求

 

○錯誤無効を理由とした契約解除通知

 

○消費者契約法に基づく契約解除通知

 

○特定商取引法に基づくクーリングオフ通知

 

○特定商取引法に基づく学習塾、英会話教室、エステティックサロン、結婚相手紹介サービスなどの中途解約通知

 

○交通事故、暴力行為、工作物責任、製造物責任などに対する損害賠償請求

 

○騒音、悪臭、迷惑駐車、ペットの飼育、ストーカーなどの迷惑行為に対する抗議状

 

○借地契約、借家契約、不動産売買契約などの不動産に関する通知

 

○未払い賃金の支払い請求、解雇予告通知等、労働問題に関する通知

 

○不貞行為(不倫)の相手に対する慰謝料請求

 

○婚約不履行に対する慰謝料請求

 

○一方的な婚姻解消に対する慰謝料等請求

 

○協議離婚の申入れ、子供の養育費、慰謝料、婚姻費用等の支払い請求、婚約不履行、配偶者の不倫相手への損害賠償請求などの男女間問題

 

○相続における遺留分減殺請求通知

 

○素行不良な相続人に対する相続放棄を求める通知